概要 この記事でわかること

  • 市街化調整区域で家を建てるための「15年居住要件」の基本ルール
  • 物件(土地)側に求められる基準(集落性・敷地面積・農地の区分)
  • 買主(建築主)側に求められる厳格な条件(通算15年居住・無資産証明など)
  • 実務の現場で直面しやすい「落とし穴」と売主・買主それぞれの注意点

宇都宮市周辺で土地探しや不動産売却をご検討されていると、「市街化調整区域」という言葉を目にすることが多いのではないでしょうか。

市街化調整区域とは、無秩序な市街化を防ぎ自然環境や農地を守るため、
原則として「建物の建築が制限されているエリア」です。
そのため、市街化区域のように誰でも自由に家を建てられるわけではありません。

しかし、一切の建築が認められないわけではなく、法令や自治体が定める基準に適合していれば、「開発許可」を得て住宅を建てることが可能です。
開発許可にはいくつかの区分がありますが、実務の現場で最も頻繁に目にするのが「15年居住(市街化調整区域内に長期居住する者のための自己用住宅)」という基準です。
今回は、宇都宮市の運用規定をもとに、売主様・買主様双方が押さえておくべきポイントを詳しく解説いたします。

15年居住の開発許可を満たす「2つの要件」

15年居住による開発許可を取得するためには、
「物件(土地)自体の条件」と「買主(建築主)側の条件」の両方を同時に満たさなければなりません。
どちらか一方でも基準を外れてしまうと、建築許可は下りません。

①物件(土地)自体の条件

どんな土地でも建築が認められるわけではなく、周辺の環境、敷地規模、土地の法的区分に関して以下の規定をクリアする必要があります。

  • ある程度家が集まっている場所であること(集落性があること)
    ぽつんと一軒だけ離れた孤立した場所には建築できません。
    宇都宮市の基準では、下記の「50戸連たん」または「3ha要件」のいずれかを満たす必要があります。
  • 開発区域の面積が200㎡以上500㎡以下であること
    宇都宮市の運用基準では敷地面積の上限が500㎡以下と定められています。実務上は良好な住環境を保つための最低敷地面積(概ね200㎡以上)と合わせ、200㎡〜500㎡の範囲で区画割りを計画します。
  • 対象地が農地の場合は「農地の種類」によって転用の可否が分かれる
    対象地が田や畑などの農地である場合、農地法に基づく転用許可が必要です。
    特に「農振(農業振興地域の農用地区域内農地、通称:青地)」に指定されている場合は、原則として転用が認められず、除外手続きを行わない限り建築はできません。農地の区分確認は農業委員会等での調査が必須となります。

💡 補足:集落性の基準(50戸連たん・3ha要件とは?)

・50戸連たん:対象地を含め、敷地相互の間隔が50m以内(1ヶ所に限り60m以内でも可)で連続して50以上の建築物の敷地が存在している地域であること。
・3ha要件:開発区域を含んだ3ヘクタールの範囲内(半径100mの円、または100m×100mの正方形を3つ連続させた形状)に、主たる建築物が20以上存在していること。

②買主(建築主)側の条件

土地側の基準を満たしていても、より高いハードルとなるのが「家を建てる人(買い手)自身の条件」です。
以下の要件をすべて満たす必要があります。

① 対象町または隣接町の「市街化調整区域」に通算15年以上居住している(いた)こと
単に宇都宮市内に15年住んでいれば良いわけではありません。
「建築予定地がある町、またはその隣接町の市街化調整区域に通算15年以上」
現在住んでいる、または過去に住んでいた実績(地縁性)が必要です。
なお、隣接する町であっても市街化区域内に住んでいた期間は一切加算されません。

【具体例】中岡本町の土地を検討する場合

中岡本町およびその隣接町(下岡本町、東岡本町、白沢町、海道町など)の市街化調整区域に通算15年以上住んでいた履歴が必要です。
市街化区域の戸建てやマンションに住んでいた期間はカウントの対象外となります。

※実務での落とし穴:過去の居住歴は「住民票の除票」や「戸籍の附票」で公的に証明します。しかし、過去の法改正前の除票は役所での保存期間(5年間)を過ぎて廃棄されているケースが珍しくありません。当時の課税資料や旧資料の照合など、どのように代替立証を行うかは実務経験が大きく問われる部分です。

② 同居家族を含め「他に家(不動産)を所有していない」こと
申請者本人および同居予定の世帯員全員が、
対象市町村内および勤務先の市町村内に居住可能な不動産を所有していないこと(無資産であること)が原則として求められます。
申請時には、市役所で「無資産証明書」を取得して提出します。
(※自己名義で居住可能な住宅や宅地をすでに所有している場合は、原則として許可が通りません。例外規定の適用可否については個別確認が必要です)

買える人が限られるからこそ、事前の専門調査が必要

ご所有の土地を売りたいとお考えの売主様にとっても、この見極めは極めて重要です。
売りたい対象地が「15年居住を満たす特定の買い手に限定される土地」なのか、それとも「線引き前宅地などの要件を満たし、誰にでも売れる土地」なのかによって、適正な売却相場や打ち出すべき販売ルートが大きく変わるためです。

実務上、市街化調整区域内にある土地で、地目が「宅地」以外の土地(畑・山林・雑種地など)に新しく住宅を建てる場合は、
多くの場合でこの「15年居住」をはじめとする開発許可基準の適合が前提となります。

15年居住要件は買い手側のハードルが高いため、
一般的な宅地と比べて「買える方(建築できる方)が限定される=相場より価格が抑えめになりやすい」という特徴があります。

条件に当てはまる買主様にとっては、広い敷地を手頃な価格で取得してゆったりとしたマイホームを建てられる大きな好機です。
一方で、売りたい対象地が15年居住に該当するのか、あるいは他の開発許可要件(線引き前宅地・分家住宅など)で建築が可能なのかは、事前の綿密な役所調査が欠かせません。

実際のところ、市街化調整区域の開発許可や法的な適法性の判断は、一般的な不動産業者であっても判断を誤りやすい非常に専門性の高い分野です。
宇都宮市の運用基準や土地ごとの経緯を正確に読み解かなければ、思わぬトラブルや売買の中断につながるリスクがあります。

私は、宇都宮市周辺において市街化調整区域の物件調査や売買仲介を数多く手掛けてまいりました。
「実家の土地に家が建てられるか知りたい」「購入を検討している土地があるが要件を満たしているか不安」という方は、まずは一度お気軽にご相談ください。

【免責事項】開発許可等に関するご注意

本ページで解説している開発許可基準(50戸連たん、通算15年居住要件、無資産要件、農地転用基準等)は、執筆時点における宇都宮市の運用基準に基づく概要です。
実際の許可判定にあたっては、道路の接道状況、給排水設備の接続環境、浸水想定区域等のハザード指定、公的証明書類の取得状況など、物件ごとの個別確認が必要となります。
最終的な申請の可否につきましては、宇河不動産または管轄行政窓口までご相談ください。

宇都宮市周辺の市街化調整区域・土地売買のご相談は「宇河不動産」へ

宇河不動産株式会社は、宇都宮市を中心にさくら市、高根沢町、壬生町、鹿沼市など地域に密着した不動産売買を行っております。
「この調整区域の土地に家は建てられるか?」「他社で断られた土地をどうにか処分したい」など、
地番(所在地)をお知らせいただければ、まずは机上での一次要件確認から承ります。

  • 役所調査・開発許可基準の適合調査(机上診断・本調査)
  • 農地法・農振除外の事前確認
  • 売却前の不用品処分や古い建物の解体手配
  • 売却完了までの空き家管理・現地管理
  • 適法な分譲スキームなど複雑な権利調整の相談